資生堂インタラクティブビューティー株式会社

顧客理解の深化から始まるロイヤルティ向上への道
一人ひとりに寄り添った美の体験を提供したい

左から

DX本部 デジタル戦略部 部長
小椋 一平氏

DX本部 デジタル戦略部 データ・CRM推進グループ
船田 和史氏

DX本部 デジタル戦略部 データ・CRM推進グループ グループマネージャー
加藤 通朗氏

Loyalty Innovation Awardを受賞したのは、資生堂インタラクティブビューティーだ。同社ではTreasure Data CDPなどのソリューションを活用し、資生堂グループの顧客理解の深化/ロイヤルティの向上を目指す「顧客育成戦略」の実現をサポート。ロイヤルティのステージアップに加え、潜在的なロイヤル顧客の発掘・育成を図っている。この活動の中で、マーケティング活動におけるデータ抽出・分析作業の大幅な省力化も実現した。
同社のキーパーソンに、こうした取り組みの狙いと効果、今後の展望などを聞いた。


Table of Contents

顧客理解の深化とロイヤルティ向上に向け分散されていた顧客データを統合

資生堂インタラクティブビューティーは資生堂とアクセンチュアとの合弁によって、2021年7月に設立された戦略的子会社だ。同社のミッションは「すべての人生を健やかでリッチに。デジタルとテクノロジーを駆使して、一人ひとりの明日のビューティー体験を創造する」。つまり、資生堂グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、既存の事業モデルを革新していくことであり、その一環として推進している施策の1つが新しいデジタルマーケティングだ。

資生堂は、総合美容サイト「ワタシプラス」を2012年4月よりスタートするなど、早くからデジタル化に取り組んできた。しかし、以前のマーケティング活動には課題もあったという。同社の加藤 通朗氏は次のように振り返る。

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「例えば、ある条件に基づくお客様の動きを観察したい場合、以前はマーケターがデータエンジニアに依頼し、データエンジニアがSQLをコーディングして当該データを抽出するかたちでした。1回の依頼で求めているデータがすべて入手できるとは限らず、抽出結果を見ながらいくつかの条件を追加したい場合もある。マーケターとデータエンジニア間に多くの“ラリー”が発生し、施策の準備段階ともいえるデータの活用に多くの手間と時間がかかっていたのです」

時勢や季節によって求められる商品に変動がある。「お客様へのアプローチはタイミングが重要です。タイムリーに施策を打てないと、その機を逸してしまいます」と同社の船田 和史氏は語る。

販売チャネルやブランドごとにデータが分断されていたことも問題だった。「同じお客様でも、店舗で購入した場合とECで購入した場合では管理が別々。分散したデータの突合が難しく、お客様の行動を統合的に把握することが難しかったのです」と船田氏は打ち明ける。

この課題解決のために実現したのが、「ワタシプラス」を含む複数の会員制度をOne ID化したメンバーシップサービス「Beauty Key」である。加藤氏はその狙いを次のように語る。

「顧客理解を深め、より良いビューティー体験を提供するためです。好みのメークや使う化粧品は、年齢やライフスタイルの変化によって変わってきます。お客様が『今、何を求めているか』を深く知ることで、最適なご提案を必要なタイミングで展開します。こうしてお客様に寄り添うことでブランドの価値向上を図り、ロイヤルティの向上や愛用者の育成につなげていくことを目指しています。」

新しい顧客体験を支える顧客育成パスの可視化

さらなる顧客理解とロイヤルティの向上に向けて導入したのが、Treasure Data CDPだ。Audience Studio機能により顧客データにアクセスし、精緻化された顧客セグメントを作成する。さらに、Journey Orchestration機能を使うことで、施策シナリオやダッシュボードをGUIで容易に開発可能だ。
どのようにクロスセルが進んでいくのかを可視化した「顧客育成パス」も実装した。

「ベストコスメ受賞などをきっかけに商品を知り、試しに手に取ってくださる。そこから興味関心を持っていただき、化粧水・乳液・美容液などシリーズで使用してくださるようになる。さらにロイヤルティが高まると、最高峰のシリーズラインナップを手に取ってくださるお客様もいらっしゃる。そういった流れを感覚ではなく、実際の数値で可視化したものです」と船田氏は説明する。

顧客にどのような商品をどのような順番でアプローチするとロイヤルティが高まりやすいのかを理解し、各施策に反映していく。これによってベース顧客層からシンボル商品の併用顧客層へ、そして最上級のロイヤルティ顧客層へと、ロイヤルティ向上を後押しする。

施策展開のスピードがアップし結果はダッシュボードで可視化

Treasure Data CDPの活用により、デジタルマーケティングの現場には既に「変化」が起きているという。
まず、手間と時間がかかるマーケターとデータエンジニアとの“ラリー”が激減した。マーケター自身が必要なデータを即座に入手できるからだ。「どんなセグメントが、どれくらい市場に存在するのか」「特定のセグメントへのアプローチは可能か」――。マーケターがアプローチしてみたいセグメントの状況をすぐに確認することができるようになった。

「顧客データはすべての販売チャネルを統合しOne ID化されているため、セグメントごとの顧客育成パスの状況や変化を容易に把握できます。『今』を知るだけでなく、潜在的なロイヤル顧客層を可視化し、行動変容を阻害するボトルネックを把握することにも役立ちます」と船田氏は語る(図)。

新たな仕組みは、生産性向上という面でもメリットが大きいという。「Treasure Data CDPは多様なAPIを実装し、様々なデータとシームレスに連携可能です。資生堂のマスターデータともこのAPIで連携しています。以前は分散しているデータを個別に収集しExcelで集計することもあったため、全体のデータを確認するのに1週間程度はかかっていましたが、今はわずか1時間でダッシュボード上で可視化できます」と船田氏は続ける。

一連の取り組みは各ブランドと連携して進めている。Treasure Data CDPを活用することで、その連携もスムーズに行える。「マーケッター同士のコミュニケーションが活性化し、相乗効果が期待できます」と船田氏は述べる。

最適な提案をタイムリーに展開しロイヤル顧客層の拡大を目指す

こうした仕組みを実現できたのは、パートナーであるアクセンチュア社とトレジャーデータのサポートがあったからだという。船田氏は次のように述べる。

「アクセンチュアはOne ID化による顧客データの統合、および活用の仕組みのデザインに至るまで、常に伴走してくれました。トレジャーデータは当社の役割や業務を深く理解し、要望を出せば、その実現を一緒に考えてくれる。実際、UIの部分で調整を図り、使い勝手を高めてもらいました。新しいことにチャレンジする不安を汲み取って、ハンズオンを作成したり、データに基づくCRMプランニングのトレーニングも実施したりしてくれました。新しい領域へ一歩を踏み出せたのは、両社のサポートのお陰です」

今後は可視化した顧客育成パスを基に、One ID化したデータも活用し、ロイヤルティの向上につなげていく。その具体的な施策の検討も進めているという。

「データの収集や施策展開をマーケター自身が行えるだけでなく、組織で共有できる。アイデアをかたちにし、施策の実施から振り返りまでのPDCAサイクルをスピーディに回していけます。これからもお客様に寄り添い、ニーズやライフスタイルの変化に応じた、より良いビューティー体験を提供していきたい」と加藤氏は展望を語る。
同社の顧客データ活用は、既にデジタルマーケティングという枠組みを超え、ビジネスの創出や事業モデルの変革に及びつつある。

今後も同社ではブランドの価値向上を図るとともに、新しいビューティー体験を提供し、一人ひとりの「美」の実現をフルサポートしていく考えだ。

受賞コメント

ブランド戦略に沿って、ロイヤルティ向上を目指す

このような素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。当社は「すべての人生を健やかで リッチに。デジタルとテクノロジーを駆使して、一人ひとりの明日のビューティー体験を創造 する」ことをミッションとしています。お客さまからお預かりしているデータを用い、お客さまに とってより有益なコミュニケーションを実現するために、今後も取り組んで参ります。

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