株式会社WOWOWコミュニケーションズ
WOWOWコミュニケーションズ、データ活用に特化したVOC分析AIエージェントの実力とは?
- 右
- 株式会社WOWOWコミュニケーションズ
営業部 データマーケティング課 チーフアナリスト
鈴木 賢様 - 左
- 株式会社WOWOWコミュニケーションズ
営業部 データマーケティング課 データアナリスト
笠井 美里様
ビジネス全般でAI活用が進むなか、今、注目を集めているのが「AIエージェント」だ。人の作業を自律的に代替し、使い方次第ではビジネスに大きなインパクトをもたらす。 トレジャーAIでは、CDPと連携して多様なAIエージェントを構築できる「AIエージェントファウンドリー」を提供している。導入を進めるWOWOWコミュニケーションズに、実際の活用法と現場での手応えを聞いた。
300時間の工数削減
AIエージェントにより非エンジニアが簡単にアンケートデータを分析できる仕組みを整えた
フリーアンサー分析は60時間削減
時間的、精神的に負担の大きいフリーアンサーのタグ付け作業をAIに代替。人と同等の品質を実現
外部企業の支援にも
同社の知見とCDPの顧客データ、AIの活用により、より深い分析が可能に
目次
コンサルタントがデータを直接抽出できる環境を
WOWOWコミュニケーションズは、その名の通りBS9チャンネルを運営するWOWOWのグループ企業。Treasure AIを用いたデータ分析・活用、およびデジタル広告の運用など、放送事業のマーケティングを担う。

同時に、その知見をグループ外へ広げ、企業のCDP構築やデータマーケティング支援も行う。「売上の割合は5割ずつくらい」(鈴木氏)と、親会社のマーケティング部門であると同時に、外部に対するコンサルティング企業の顔も持つ。
そんな同社が現在注力しているのが、VOC分析だ。WOWOWでは「WOWOWビューワーズボイス」というファン組織を運営し、月2回のアンケート調査を実施している。毎回3000〜4000件集まる回答を分析し、ユーザーの反応を継続的にチェックしたり、直接聞いた意見をマーケティング等の施策に反映させる狙いだ。WOWOWコミュニケーションズは、貴重なアセットであるアンケートデータをTreasure AIに格納し、生成AIをかけ合わせることで、VOC分析の高度化・効率化を図っている。
鈴木氏らがまず行ったのは、コンサルタントが直接アンケートデータにアクセスし、AIと対話形式で分析できる環境の構築だ。従来、コンサルタントはTreasure AIからのデータ抽出作業を、SQLを作成できるデータエンジニアに依頼していた。その過程で、認識や意図のズレからくる手戻りなど、双方のやりとりが多発しており、エンジニアのリソースを圧迫していたという。人材採用が困難な昨今の状況で、エンジニアの工数削減は大きな課題だ。
また、施策のスピードアップが求められる中で、データ抽出までの時間短縮も課題となっていた。従来は、コンサルタントが分析を依頼し、最終的にWOWOWの事業部門やクライアントに施策を提案するまで、2週間程度かかるケースも。生成AIの活用により、このプロセスを最短1日まで短縮できると、鈴木氏は見込んでいる。
肝心なのは、AIエージェントが行うデータ抽出の精度だ。実際にコンサルタントが利用したところ「数多くの案を出してもらえるので、豊富なヒントが得られる。(一つひとつの)精度も高い」と、鈴木氏は手応えを感じている。
AIエージェントを組み合わせVOC分析を効率化
笠井氏は、WOWOWビューワーズボイスのアンケートの分析のために、「複数のAIエージェントを作成した」と述べ、ポイントを解説してくれた。
最初に作成したのは、「分析系において多くのエネルギーと時間がかかる」という単純集計作業のエージェントだ。従来は、視聴頻度、継続以降、NPSスコアと、多岐にわたるアンケート項目の集計を、手作業で行っていたという。AIエージェントを導入すれば、エンジニアの手を介することなく、コンサルタントが月2回のアンケート結果を簡単に把握できるようになる。
アンケート結果の出力後は、ユーザーが要求すれば、AIが推奨アクションを提示する設計とした。

「AIの意見を聞いて、コンサルタントが必要だと判断すれば、自分の手でアンケートを深堀りしていくことができる」
(笠井氏)
笠井氏によれば、ここまでのAI活用で、月間の総工数削減効果は300時間にのぼる。コンサルタントが直接データを扱える環境は、前述のとおり単純な効率化以上の効果も見込まれ、経営へのインパクトは大きいという。
フリーアンサーの分析で60時間の工数削減
続いて鈴木氏、笠井氏らが取り組んだのは、フリーアンサーの分析でのAIエージェントの活用だ。同社では、多ければ数千件におよぶ回答を、人が確認しタグを付与している。例えばドラマなら、「〇〇さんの演技が素晴らしかった」など不定形で記述されたテキストを「俳優への称賛」というタグに分類する、といった具合だ。分析意図を理解した担当者が、1日がかりで行うこともある負荷の高い作業だという。

そこで同社は、このタグ付け作業を、AIに代替させた。
具体的には、Treasure Data CDPにアンケートデータをアップロードし、AI Agent Foundryで作成したAIエージェントに、想定されるタグの一覧を生成させる。続いて人間がAIと会話しながらチューニングし、タグのマスタを確定する。
次に、AIがアンケートデータのフリーアンサーを閲覧し、一件ずつタグを付与していく。さらに、結果のヌケモレやデータの不備などをAIにチェックさせて正確性を担保する、という流れだ。

この取り組みにより、担当者の業務量は、月間60時間削減された。タグ付けの品質は、「人の作業と同等のレベルで安定している」と、笠井氏は評価する。負担になっていた単純作業がなくなり、担当者のモチベーション向上にもつながっているという。

また、笠井氏らは2026年4月にリリースされた会話形のワークフロー作成ツールTreasure AI Studioを早々に活用。エンジニアのデータ活用業務においても、より柔軟な運用が可能になったと実感しているという。
さらに鈴木氏は「Treasure AI Studioなら、データの専門知識を持たないコンサルタントが直接操作できる。アンケート項目の作成など、さらなる効率化が期待できる」と今後を展望する。
調査と顧客データのかけ合わせでマーケティングを高度化する
前述のとおり、WOWOWコミュニケーションズでは、グループ外の企業に対するデータ活用支援サービスを提供している。
例えばVOC分析では、アンケートデータと企業が持つ多様な顧客データを、Treasure AI上で統合することで、従来は難しかった複雑な分析、インサイトの抽出が可能になる。
「フリーアンサーをはじめ定性情報と、顧客の属性や契約情報をかけ合わせた深い分析は、アンケート調査とCDPの活用に取り組んできた当社の強みだ。より精緻な顧客理解や行動予測を進めていく。」
(鈴木氏)
同社に蓄積された調査・分析の知見と、各企業が保有する顧客データ、それらを高速で処理するAIエージェントにより、マーケティングは新たなステージへ進化しようとしている。
