株式会社ジェーシービー
イシュイング本部 販売促進部 次長(顧客チャネルグループ担当)
藤林 健太氏
クレジットカードのインフラを担うJCBは、1961年の創業以来、会員・加盟店・ブランドの3つの領域で様々な商品・サービスを展開してきた。事業規模の拡大と多様なラインアップの拡充に伴い、部門ごとにデータとシステムが積み重なる一方、会員一人ひとりに一貫した体験を届けることが難しくなっていた。
こうした課題に対して同社が取り組んだのが、Treasure Data CDPによる顧客データ基盤の整備と、多くの事業部が連携する協創型のマーケティング変革だ。技術の導入に先立ち「顧客への提案価値」から逆算して設計を固め、現場ユーザーの定着まで丁寧に取り組んできたプロセスについて、株式会社ジェーシービー 販売促進部 次長(顧客チャネルグループ担当)の藤林健太氏が、2025年12月2日開催の同セミナーで解説した。
施策1本あたり 約130万円のコスト削減
CDP導入後、代表的な施策1本あたりに要していた集計・加工・コミュニケーション・検証などの内部コストを約130万円削減。提案品質を落とさずに業務効率を大幅に改善した。
顧客1人あたり 約800のデータ項目
利用金額や購入頻度といった「現場に必要な基本情報」の整備を優先して整備。2026年現在は、お客様の趣味・嗜好なども含め、2,000を超える項目に拡充。
事業部横断の協創型プロジェクト
技術先行ではなく「顧客提案からの逆算」を設計思想の軸に据え、システム本部を含めた多くの事業部が参加する形でCDPを導入。現場の抵抗を乗り越えるための仕組みを事前に設計したことが、組織全体への定着を後押しした。
目次

「お客様志向」が、マーケティングの出発点
藤林氏はまず、JCBという会社の本質を「お客様志向」という言葉で説明した。JCBが公式に掲げるブランドメッセージ「世界にひとつ。あなたにひとつ。」のステートメントでは、「お客様志向」を“当社のあらゆる事業の根底を貫くカルチャー”と位置づけている。
また、2025年度から取り組む中期経営計画「Plan 2028」でも、活動方針(3つのC)の第一に「お客様・市場を起点とした思考/行動(Customer)」を掲げている。
1961年に日本初の汎用型クレジットカードを世に送り出して以来、現金主義が根強かった日本社会にキャッシュレスの利便性を届けてきたのがJCBの歩みだ。目先の収益ではなく、「お客様の不便を解消し、ショッピングやキャッシュレスの利便性を提供する」という創業以来の姿勢——藤林氏は、この原点にこそCDPを活用したマーケティング変革の精神が息づいていると語る。
「この思いを引き継いで、お客様にとって最適なショッピング体験・キャッシュレス体験を届けていきたい。グループで働く社員一人ひとりが、同じ思いで働いていると思っています」。この顧客への向き合い方こそが、根底にある精神なのだ。

藤林氏自身も、前職でデータ活用の原点となる体験を20代で経験している。大きな分析プロジェクトに携わった際、数か月以上データを分析しても対象の特徴が見えてこなかった。追い詰められた末、現場へ足を運び、現場担当者と直接会話をした結果、会話の中に出てきた言葉が分析を進めるうえでの大きなヒントになった。これにより「データ分析は教科書通りのセオリーを出すだけでは人を動かせない。現場に行き、ストーリーが生まれて初めて人を動かす力を持つ」という気づきを得た。この体験が、その後のデータ活用に対する藤林氏の哲学を形成しているのだ。
多様なサービスと長い歴史が生んだ分散という課題
JCBが直面していた課題は、多くの大企業が陥りやすい構造的なものだった。長い歴史のなかで、自社発行カードのオリジナルシリーズから提携先カード、フランチャイズ先の銀行カードまで、ひとつの「クレジットカード」という事業をとっても、無数のニーズが積み重なっている。
商品別・事業別に細分化され、それに伴ってシステムは点在化し、データは分散してしまっていた。
その結果として起きていたのが、顧客体験の分断だ。プロダクトごとに個別最適化された提案が重なり、「お客様から見ると、一貫した提案になりきれていなかったのではないか?」と藤林氏は振り返る。
さらに、組織内部でも課題があった。事業部門が顧客分析に力を入れても、マーケティング部門への橋渡しは数行に集約された「作業依頼書」となり、分析に込められた思いや文脈が失われていた。分析の深度とプロモーション実行がうまく連動していない状態だったのだ。
藤林氏はこの課題の本質を「多様なお客様のニーズを統合して、一貫した体験を作ること」と定義した。長い歴史や多様性を否定することなく、データとシステムを『統合し連動させる』ことでこの矛盾を解消していく——その手段として選ばれたのがTreasure Data CDPなのだ。
「技術先行」を避け、顧客提案から逆算した設計思想
CDP導入に際して藤林氏が最も重視したのは、「技術ありき」ではなく「お客様への提案価値からの逆算」という設計思想だ。CDPを導入した企業が直面する可能性が高い課題として、藤林氏は次の4つを挙げた。

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システムを導入する側がプロモーションや分析の実務を理解しておらず、ツールが使えないまま放置されること。
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新しいシステムの使い方が現場に浸透しないこと。
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データを集めること自体が目的化し、「データが多ければ課題が解決する」という誤解が生まれること。
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人間の習性として新しいものへの抵抗感があり、変化を受け入れにくいこと。
これらの課題に対して、JCBはCDP導入前から具体的な対策を講じた。まずシステム本部に対して導入の理念と目指す姿を共有し、賛同を得た上で各事業部を巻き込んでプロジェクト化した。単に分析が速くなるだけでなく、「良いセグメントができれば、お客様への提案機会が大きく広がる」というメリットを現場に明示した。また、本格導入前にモックのデータベースを構築し、既存の業務が再現できることをユーザーに実証してみせた。さらに教育についても、外部ベンダーに任せきりにせず、社内に使える人材を育てて机を並べて一緒に学ぶ体制を整えた。

「システムに入れる人間が実際のプロモーションや分析を知らなければ、当然使えないシステムになる。この4つの課題はCDP導入で陥りがちだが、事前に想定して手を打てるかどうかが成否を分ける」
(藤林氏)
さらに藤林氏が重視したのが、CDPの活用を「分析」だけに偏らせない工夫だ。事業組織の担当者は日々の業務に追われ、「分析に時間を割くよりも、まずは売上を上げたい」という意識が強く、分析へのニーズがそもそも生まれにくいという現実がある。そこでJCBは、データ分析機能の強化と並行して、Webサイト上での顧客接客(Web接客)も同時に強化した。顧客との接点を増やすことで初めて、分析すべきデータと向き合うべき課題が生まれる——この考えのもと、「分析」と「接客」の両軸でCDP活用を推進したのだ。
「誰の仕事がどこと繋がるか」を可視化した導入設計
CDP導入前に藤林氏が取り組んだのが、「誰の仕事がどのデータと繋がり、最終的にお客様のどのような体験に結びつくか」を可視化した設計図の作成だ。
JCBの会員専用Webサービスである「MyJCB」の認知拡大と利用者増加を例に挙げると、戦略を考える役員層から、実際にメール配信や提案を実行する現場担当者まで、各人が「Treasure Data CDPのどのデータを見れば何が分かるのか」「そのデータをどう使い、最終的にお客様の体験のどこに繋がるのか」を一枚の図に落とし込み、議論しながらプロジェクトを前進させた。

同様の設計を入会後のカスタマージャーニーにも適用した。入会から1ヵ月・1年間という顧客との接点が極めて重要な期間において、何をデータ化し、どの情報を起点にどのチャネルでどのようなシナリオを展開するかを社内に提案し、各部門と合意形成を図った。
データ項目の設計についても、同じ哲学が貫かれている。導入当初に事業部とシステム本部へ提案した顧客属性は約400項目。その後、現場との対話を重ね、講演時点では約800項目にまで拡張されている(2026年現在は2,000超に拡充)。
「800項目といっても、こねくり回した高度な分析ではない。ごくごく基本的な因数分解の積み重ねだ。現場の声をよく聞くと、先月・今月のお客様の利用金額はいくらか、何パーセント伸びたか、KPIにあと少しで届くお客様は誰か——こういったことが知りたいという。だから基本を丁寧に押さえることを優先した」(藤林氏)。まず基本情報を固め、その後趣味・嗜好など高度な項目へ拡張していった。日々の業務で直接使える基本的な情報の整備を優先したことが、現場ユーザーの定着に繋がっている。
1施策あたり約130万円のコスト削減——定量成果が示す変革の手応え
CDP導入の定量的な成果として、藤林氏が紹介したのが施策1本あたりの内部コスト削減だ。月間約300本に及ぶ顧客への提案シナリオを承認・管理している藤林氏は、従来の施策のうち複雑な分析処理を伴うものを代表例として取り上げた。
かつては、データの集計・加工・コミュニケーション調整・会議・検証といった一連の内部作業に、施策1本あたり相応のコストが発生していた。Treasure Data CDPの導入によってこのフローを自動化・効率化した結果、提案品質は一切変えずに1本あたり約130万円のコストを削減できたという(2025年12月の講演時点の社内試算値)。
「代表的な施策でここまでの成果が出ていることは、確かな手応えだ」(藤林氏)。また、ユーザー評価についても総じて高い評価が得られた。特に、CDPの導入によって事業部門とマーケティング部門が同じ顧客データを『一緒に見る』環境が整い、これまで依頼書1枚のExcelで失われていた分析の文脈や思いを共有できるようになったことへの評価が高い。
一方で、新たな課題も見えてきた。約800項目ものデータが蓄積された結果、「その情報がどこにあるかが探せない」「どう組み合わせていいか分からない」という心理的障壁が現場ユーザーに生まれるようになったのだ。「どこまで行っても人間なので、情報を探すコストは一定かかる。それが心理的障壁になると分かってきた。この先の課題だ」(藤林氏)。
AIが解くのは「心理的障壁」——次世代への知識継承も視野に
藤林氏が描く次のステップは、生成AIの活用だ。その目的を、藤林氏は「短期」と「中長期」の2軸で整理している。
短期的な課題は、CDPに蓄積された情報へのアクセシビリティの改善だ。「情報がどこにあるか分からない」「データをどう探せばいいか分からない」「システムの使い方が分からない」——こうした現場ユーザーの心理的負荷に対して、生成AIを活用した自然言語インターフェースを整備することで、誰もがデータに親しみやすい環境をつくりたいと藤林氏は考えている。
中長期的には、より高度な施策支援への応用を目指す。コピーライティング、グラフィック制作、セグメンテーション設計——それぞれの領域に深い専門知識を持つプロフェッショナルが存在するが、「一人の人間が全ての領域を追体験することはできない。生成AIの力を借りてこれらの要素をミックスしていくことにチャレンジしたい」と藤林氏は語る。

さらに藤林氏が重視しているのが、ナレッジの次世代継承という視点だ。「今この瞬間にチャレンジしていることは、数十年後には当たり前のこととして語られるはずだ。なぜやるのか、何に苦労したのか、どうやったのか、結果何を反省したのか——そのナレッジをTreasure Data CDPを使って蓄積し、次世代に継承していきたい」(藤林氏)。CDPを、単なるデータ管理ツールにとどまらず組織の知識と経験を継承するプラットフォームとしても活用しようというこの発想は、マーケティング変革を『一過性のプロジェクト』ではなく『組織の持続的な進化』として捉えていることを示している。
データはパソコンの中にない——お客様の中にある
藤林氏の講演を通じて一貫していたのは、「データ活用の目的は、お客様を深く理解し、お客様に寄り添った体験を届けること」という原則だ。
「お客様はデータではない。パソコンの中にお客様のニーズはない。できるだけ一人ひとりのお客様に近くなるように理解しようとする姿勢が重要だ。自分一人が理解しても意味がなく、社員全員が、あるいはパートナー企業も含めて共有して初めて意味を持つ。そしてみんながベクトルを揃えて動いた時に、連動が生まれる」(藤林氏)。
20代の時に現場へ足を運んで得た「現場まで行き、ストーリーが生まれて初めてデータは人を動かす」という気づきは、今もJCBのCDP活用の哲学の根底に流れている。技術の導入はあくまで手段であり、目的は顧客への価値提供と、それを支える組織の変革だ。部門サイロの解消、現場への定着、コスト削減の実現、そしてAIを活用した次のステージへ——JCBのマーケティング変革は、「顧客起点」という揺るぎない軸を持ちながら、着実に進化し続けている。

Growth OS(グロース オーエス)という概念で、データとAIを一気通貫に
これらの課題を抜本的に解決するために立ち上がったのが、AIとデータ活用による全社改革だ。その中心的な役割を担うのが、執行役員の小森谷裕之氏が主導する「Growth OS」という考え方だ。
「システムもデータもサイロ化していることは大前提として、テレビ通販、EC・リテール事業、商品開発やプロモーション、さらには管理会計の領域も含めて、事業に本当に必要なデータを明確にし、各種システムのデータを集約するとともに、必要であればマスターデータもトランザクションデータも事業サイドで作ってしまおうという考えで進めている」
(小森谷氏)
実は、小森谷氏がキューサイに入社した2024年当初、社内ではTreasure DataとDWH(データウェアハウス)の違いが経営層に十分理解されておらず、CDPの活用自体が危うい状況にあったという。
「導入しても、マーケティング部署の一部の担当者が勘と経験と度胸(KKD)で属人的に動くだけでは意味がない。データが集まってもサイロ化したシステムでつながらない、あるいはデータ量が多すぎて分析以前に溺れてしまうという問題は、多くの企業が陥る典型的な課題だ」
(小森谷氏)
こうした状況への処方箋として設計されたのがGrowth OSだ。データ中心設計のもと、CDP(Treasure Data)、マーケティングシステム、PL管理を一本化し、顧客理解→施策展開→経営インパクト確認→学習という一連のループをどれだけ高速で回せるかが、成功確率を科学的に高め続けることにつながると小森谷氏は強調する。経営と現場がバラバラに動いていては時間がもったいないという山田氏の強い問題意識とも一致しており、共通データを基盤に経営と現場が素早く判断・行動できる組織づくりを目指している。
「万が一判断を誤った際にも早期に検知してリカバリーできる。それが、データを起点に動く組織の最大のメリットだ」
(山田氏)

AIエージェントが経営と現場をつなぐ
Growth OSの中核として機能しているのが、Treasure DataとAIエージェントの組み合わせだ。現在、キューサイでは顧客理解から施策実行を中心に複数のエージェントを開発・運用している。代表的なものが「KPI分析エージェント」と「メール文面作成エージェント」だ。
AIエージェントの重要な役割が、経営と各担当者の「壁打ち相手」として機能することだ。従来は、経営が数値を必要とする際に各担当者へ問い合わせ、さらにその部下へと依頼が連鎖するという非効率な業務が常態化していた。AIエージェントの導入により、経営はエージェントと直接対話しながら数値の確認や示唆を得られるようになり、各担当者もそれぞれの業務の補助者として活用することで業務効率が向上する。数字の確認にとどまらず、要因分析や課題解決のための施策案についても壁打ちを通じてまとめることが可能になっている。

KPI分析エージェントでは、「24年12月の商品別の売上を教えてください」「コラリッチジェルの昨年との売上比較をしてください」といった自然言語での問いかけに対して、グラフや滝グラフ、要因分析などが自動的に生成される。
「全体を俯瞰しながら、どんどん深掘りしていける。AIであるため、何を聞いても怒られることはなく、恥ずかしがらずに質問できるというのも利点のひとつだ」
(小森谷氏)
また、メール文面作成エージェントでは、ターゲットセグメントや訴求ニュアンスを入力するだけで、薬機法などの規制を考慮した文面が自動生成される。「原案がしっかり先に出てくる上に、成功事例から学んだ状態で作られるので、より効果の高いものが生み出される」(小森谷氏)。さらに、配信後のメールの開封率・クリック率・CVRをセグメント別に分析するエージェントも稼働しており、配信直後からリアルタイムに結果を確認しながら示唆を得ることができる。
一方で、「BIはもういらないのか?」という問いに対して、小森谷氏は明確に「まだ必要」と答える。
「BIは視覚的な全体把握とトレンド監視に適しており、手触り感のある数字を扱うのに向いている。AIはそこからさらに深掘り・分析・仮説検証を行う役割だ。BIとAIはどちらか一方ではなく、両方を有効に活用することが重要である。AIでの分析が進めば進むほど、BIダッシュボードも進化し、データ環境が成長し続ける好循環が生まれる」
(小森谷氏)

AI全社改革を成功させる3つの要因
ここまでの取り組みを踏まえ、山田氏はAIを企業全体の改革として推進するための成功要因を3点にまとめる。
「最も重要なのは、組織と思考のアップグレードだ。これまでの成功体験や無意識の意思決定を否定するのではなく、AIを前提として意思決定の視点・観点を統一していくことが鍵になる。AIを使って社員一人ひとりの仕事が顧客起点になっているかどうかを常にチェックし、無意識のうちにマーケティング発想に変わっていける文化の醸成が非常に重要だ」
(山田氏)
単品通販をメインとしてきた事業構造では、社内にマーケティング発想が根づきにくいという背景がある。属人的な意思決定からデータに基づく再現性のある判断へ——この転換は、ツールの導入だけでは成し遂げられない。「AIを前提に意思決定の観点を統一することで、全社で勝ち続けられる組織に変わっていける」(山田氏)。と、変革への確信を語る。
2点目はナレッジの蓄積だ。AIを活用しても、積み重ねられた知識・経験がなければ精度の高い判断は生まれない。「AIを使おうが使うまいが、ナレッジをしっかり蓄積していくことの重要性は変わらない」(山田氏)。施策の成功・失敗を問わず記録・構造化し、次の意思決定に活かし続けることが、組織全体の学習ループを加速させる基盤になるという考えだ。
そして3点目が人材育成だ。AIエージェントの開発・運用を外部に委ねるのではなく、できる限り内製化する方向で進めており、社内育成への投資を積極的に行っていくという。「AIを前提に意思決定できる人材を自分たちの手で育て、外部環境の変化に柔軟に対応できる組織に変わっていくこと——この3点が達成されたとき、キューサイは本当の意味でのマーケティングカンパニーになれていると思う」(山田氏)。
こうした取り組みの成果として、分析工数は約80%削減できる見込みが立っており、施策の質の向上や顧客理解の深化も期待できるという。「現在の業務との比較でこの数字だが、削減した工数の分だけより深い分析に充てられるようになるので、施策効果まで含めればさらなる改善が見込める」(小森谷氏)。
ゼロパーティーデータと外部連携で、顧客理解をさらに深く
今後の展望について、小森谷氏はゼロパーティーデータと外部パートナーデータの活用強化を挙げる。
「アンケート基盤やコミュニティサイトのデータから、より深い顧客理解と施策応用を検討したい。また外部パートナーのデータも連携させることで、自社だけでは知り得ない情報も含めた顧客理解をさらに深めていきたい」
(小森谷氏)
AIエージェントはまだ完璧なものではないとしながらも、「ビフォアAI・アフターAIと言われるくらい、この変革期にAIとの付き合い方も含めて経験を積み上げ、成長のループを加速させていきたい」(小森谷氏)と、変革への意気込みを語る。

そして山田氏は、最終的に同社が目指す姿をこう語る。
「私たちが向かっているのは、AIとデータを基盤に顧客視点で事業を再設計するマーケティングカンパニーだ。 最終的には、お客様と一緒に価値を作り、社会課題を解決していくような存在を目指している」
(山田氏)
広告環境が激変し、定期通販モデルの限界も見え始めた今、キューサイはAIとデータを軸に顧客体験の再設計に挑んでいるのだ。
※1 2007年度~2024年度 コラーゲン健康食品通信販売市場 メーカー出荷金額ベース シリーズ製品合算値 (株)矢野経済研究所調べ 2026年1月現在 ※サプリメント形状のみ ※従来品も含む ※本調査結果は、定性的な調査・分析手法による推計である。
