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2021/06/21

「共通ID」を正しく理解し、3rdパーティクッキー対策を進めるコツとは?

Treasure AI Treasure AI

2020年1月に、GoogleはChromeでのサードパーティCookieのサポートを段階的に廃止すると発表しました。また、AppleもIDFAの利活用制限を開始します(※ 2021年4月27日(日本時間)にiOS14.5をリリースし、制限が開始されました)。LiveRamp Japan株式会社 Head of Partnerships 今井 則幸氏が、この状況が媒体社やマーケターに及ぼす影響を考察するとともに、その対策として、新しい「人ベースのID(共通ID)」を利用したソリューションを事例を交えながら紹介しました。

※本記事はトレジャーデータ株式会社が主催した「PLAZMA After 3rd Party Cookie〜Cookie規制後のデータ活用とマーケティング 〜」(2021年5月開催)のセッション「『共通ID』を正しく理解し、3rdパーティクッキー対策を進めるコツとは?」をもとに編集しました。

今井 則幸氏
今井 則幸氏

LiveRamp Japan株式会社
Head of Partnerships

2010年に米Yahoo!社が提供していたRight Mediaに入社し、日本市場でのAd Exchangeビジネスの定着と拡大に尽力。その後MediaMath社をはじめグローバルの広告プラットフォームで日本市場のビジネス展開、デジタル戦略とソリューションの専門知識を培ってきました。2019年3月に現在のデータを安全かつ効果的に活用するためのデータ接続プラットフォームのLiveRamp JapanにHead of Partnershipとして入社。IDソリューションをパブリッシャー、テクノロジープラットフォームといったパートナーへの提供を担当。

今直面している3つの課題

まず、皆さんが直面していることの一つ目に「Walled Garden」による支配があると思います。Google、Facebook、Appleなどが世界を作っているだけではなく、サードパーティCookieやモバイル広告IDの使用を制限するようなブラウザやOSまでが、これらの企業による支配になってしまっています。

次にプライバシー規制です。2016年にヨーロッパではGDPRが可決し、2018年に施行されました。日本では2020年6月に、改訂版の個人情報保護法が可決され、2021年4月の施行に向けての準備がされています。それらの新しいガイドラインに則って、デジタルキャンペーンもしくはマーケティングを考えていかなければいけない、というのが皆さんが直面していることではないでしょうか。

もう一つが、この1年から1年半の中で、皆さんの課題となっている「サードパーティCookieの利活用の減少」です。基本的には使えなくなる世界になります。

こうした変化の中でどういった対応をしなければならないか?そして今、サードパーティCookieの利活用の制限に対してどんな準備をしなければならないか?という部分を皆さんが日々考えてらっしゃることだと思います。

2つ目の課題、3つ目の課題を改めて振り返ります。2016年にヨーロッパでGDPRが可決され、その後施行されました。実はGDPRが可決された翌年に、AppleがITPをリリースしています。最初のバージョンなので、それほど大きな影響はなかったかと思いますが、2019年のITP2.0あたりから、実際にサードパーティCookieによるターゲティングができないブラウザとなってしまいました。それに呼応するかのようにGoogle、Firefox、Microsoft Edgeも同じくサードパーティCookieのサポートを終了することを発表しています。

2020年1月に、Googleが2年以内にChromeにおけるサードパーティCookieのサポートを終了することを発表しました。それから1年以上経ち、最大で考えてもあと8ヶ月程度の間に、皆さんも何らかの対策をしなければいけない時期に来てしまっています。(※ 2021年6月24日に2023年末に延期との発表がありました)  

加えて、日本でも個人情報保護法が改定され、それらのガイドラインに沿って対応していく必要があります。

サードパーティCookieが制限されるブラウザ

このデータはStatscounterから取得したもので、左側の棒グラフは、デスクトップで使われているブラウザのマーケットシェアを表したものになります。

昨年の7月〜9月のデータをもとに作っていますが、水色が日本です。見ていただいてわかるように6割近い方が Chromeを使っています。このChromeでも、あと最長で8ヶ月で、サードパーティCookieを使えなくなります。どうなるかをご想像ください。

そしてモバイル・タブレットで言うと、2つの主要なブラウザが使われていることが見て取れると思います。緑がグローバルで黄緑が日本です。日本はSafariのマーケットシェアが突出して大きいです。

これは、日本のiPhoneの販売シェアに正比例しているからだと思います。私の家族もそうですが、多くの皆さんがiPhoneを使っていて、デフォルトであるSafariをそのまま使っていると思います。タブレットも同様です。これがSafariのマーケットシェアにつながってるのではないかと思います。

AppleがiOS14のバージョンから、IDFAへの規制をかけるとことを昨年6月に発表しました。実際には2021年4月27日(日本時間)にリリースされたiOS14.5で規制がはじまってしまいました。Safariのマーケットシェアのデータを見ても、iPhoneがこれだけ使われているということは、それを識別しているIDFAも影響を受けてしまいます。

サードパーティCookie後の主な対応策

サードパーティCookieの後にどのような対策をするか、皆さんにヒアリングすると、検索連動型広告にシフトしたり、メディアの中にはコンテキストマーケティング、コンテキスト広告を見直したり、共通IDと言われるような新しい人ベースのIDを利用した新しい識別子を使って、エコシステムの中で活用するという対策案を考えられているようです。

私たちLiveRampが提供しているのは共通IDとも呼ばれている「人ベースのID」で、我々はそのIDを利用することができる、信頼に基づいた新しいエコシステムの構築を皆さんにご提案し、皆さんと一緒にマーケットを作るサポートをしいています。

ユーザー、マーケター、パブリッシャー、それぞれきちっとした形で信頼できる価値交換できるような仕組みをつくっていくことが必要だと思ってます。改めてLiveRampとはどんなことを提供しているかを紹介すると、この図の右側に出ている路線図を構築している会社だとイメージしてください。

例えばトレジャーデータはグローバルIDというIDを持っています。DSPはDSP、SSPはSSPのIDを持っていますし、他のCDP、CRMの場合も、それぞれIDは別のものが使われていると思います。

この断片化してしまってるIDを、RampIDというLiveRampが提供するIDを介してつなぎ込むお手伝いをしているのが我々です。LiveRampは、DMPですか?、DSPですか?、SSPですか?、とよく質問されるのですが、我々はあくまでも、右と左、上と下、右斜め上から左斜め下までをつなぎ込むための、データ接続プラットフォームというサービスを提供している会社です。

一番大事にしているのは、我々はこの相互関係、相互運用ができるようにするためには中立的な立場である必要があるとと考えています。もう一つ、特にユーザーのプライバシーをきちんと守れるようなテクノロジーと環境を提供するのが我々LiveRampのポジションになります。

「共通ID」ソリューションの仕組み

では、どのようにしてRampIDを作成しているのか、をお話させていただきます。
ユーザーが、例えば広告主、パブリッシャーなどで会員登録をし、それぞれのサービスや情報を受け取ろうとしています。

例えばこの図でいうと、ある女性が会員になる際に、名前、電話番号、住所、メールアドレス、携帯番号、といったいわゆる個人情報を登録しています。ただこの登録した個人情報そのものを使って、例えばターゲティングなどデジタルの世界で使うことは、プライバシーの観点からも難しいです。

そこで我々がどうサポートできるかというと、これらの個人情報を広告主、パブリッシャーの環境の中で非可逆にハッシュ化したデータ(値)をLiveRampに送っていただきます。それに対してLiveRampが、一つ一つ送っていただいた事業主単位で新しくRampIDを生成して、そのIDがエコシステムなどの中で使えるようにお戻しします。

お戻ししたRampIDを使って(図の右側)、様々なタッチポイント、場面で使っていただけるような構造、インフラストラクチャを生成するお手伝いをしております。

このRampIDを生成するソリューションをパブリッシャーに対して提供してるのが、我々の認証トラフィックソリューション、英語で言うとAuthentiated Traffic Solution (略してATS)です。

ユーザーが同意をして登録したファーストパーティデータの情報を使って行われるログインをトリガーにしてRampIDを生成し、それをプログラマティック取引の中で活用できる環境を提供してるのがATSです。

図の右側の方、パブリッシャーの部分から説明をすると、ユーザーがサイトもしくはアプリを訪れて、ログインをすることによってコンテンツを閲覧したり、サービスを利用する場合があります。例えば、新聞の記事を読む際の「ここから先はログインしないと読めません」というのもそれに当たります。

このログインをする際、昨今、グローバルでも日本でも多くの場合、メールアドレスがユーザーIDとして使われてます。このユーザーIDとして入力されたメールアドレスを安全な形でRampIDという全く別のIDに置き換えることによって、活用していただけます。

一方、図の左側の広告主(パブリッシャーである可能性もあると思います)がCRMで管理されている既存のユーザーの情報からRampIDを作成することにより、右のパブリッシャーからBidリクエストに含まれて送られてくるRampIDと左の自身のRampIDを突合することによって、「人」をターゲットできるというようなエコシステムを、皆さんと一緒に作り上げている最中になります。

広告主とパブリッシャーだけではなく、実はこれらのIDは、トレジャーデータのようなCDPの他、DSP、SSP、データプロバイダー、色々な広告主やパブリッシャーの活動をサポートしている代理店など、エコシステムに関わる皆さんをつなぎ込むことも可能になります。

話を少し前に戻しますが、パブリッシャーがこのログイン認証から生成される人ベースのRampIDを使って、自社の在庫がターゲットされた場合、どういった結果が起きるかを事例をもとにお話します。

人ベースの新しいIDを使った事例

我々のソリューションで先行しているアメリカの複数のパブリッシャーから共有されたデータをもとに、作成したケーススタディになります。これは、ブラウザごとのCPMがどれだけ改善したかを表しています。

左側からChrome、Edge、Firefox、Safari、そしてunknown(その他色々な他のブラウザという場合)なのですが、青色のグラフが、RampIDを使ってターゲティングされた場合のCPMです。

黄色の棒グラフは、今までのようなCookieベース・デバイスIDベースで、取引されているCPMなりますが、サードパーティCookieがまだ使用可能なChromeでも比較しするとプラス50%のCPMという上昇・改善がみられます。さらに注目していただきたいのが、右から2番目のSafariです。ITPによりターゲティングされないことによってCPMが下がってしまい、収益がかなり落ちてしまっている状況に対して、ターゲット可能な在庫となることによってCookieベースに比べてCPMが375%も高くなっています。これは非常に大きなポイントだと思います。

広告主の立場から見ても、これまでは全ブラウザの中で約60%のChromeでしかターゲットできていなかったものが、これからは非サードパーティCookieであるSafari、Firefox、Edgeと言ったブラウザでもターゲット可能な在庫となることで、実はリーチが大きくなる、いうところを注目いただければと思います。

このCPM改善はパブリッシャーにとってのメリットだけでは?、というような質問が出るかもしれません。実は広告主にとっても大きなメリットがあると思います。昨年、アメリカで我々のクライアントであるFitbitが行ったキャンペーンの事例をまとめたものがこのスライドです。

Fitbitが自社CRMデータから分析し、既存顧客に対してどういったアプローチ、メッセージングが効果的かを検証いただきました。RampIDをベースにするターゲティング、Cookieをベースにするターゲティングの比較です。

まずはROAS(広告費用対効果)が2倍に向上しています。
例えば、CRMの情報から分析し、ユーザーが今使っているギアのバージョンが古いものだったら「新しいものに変えませんか」というような、また、「付属品を買いませんか?そうすることでもっと使いやすくなりますよ」といったメッセージで広告配信するようなキャンペーンが実施されました。

さらには、ページビュー当たりのコストが34%減少しています。ただ単にターゲットできる在庫が少なくなったからではなく、逆に、今までのCookieベースでユーザーを推測することで、なるべくたくさんのImpressionを買わなくてはいけなかったのを、ユーザーを絞り込んだImpressionをターゲットできるようになったことで、結果的にはコストを抑えることができたというデータです。

最後に、最も注目していただきたいことは、どういうメッセージをどういう人に当てればいいかということを把握した上でキャンペーンを行ったことで、平均注文額が13%向上したという結果です。

つまり、広告主にとっても大きなメリットがあります。パブリッシャーにとっても今まで諦めていたSafariなどを含める全てのブラウザに対して収益性を保っていただける、というところが大きなメリットになると思っています。

我々LiveRampは皆様と一緒にこの新しいエコシステムをどんどん構築したいと考えています。残り8ヶ月しかないサードパーティCookieの活用について、終わってから何かを考えるのではなく、もう今この時点から一緒に、新しいデータ戦略、もしくは在庫販売・買付戦略というのを皆さんと考えさせていただければと思っています。

Q&Aセッション

セッション内容を受けて、トレジャーデータの小林が、今井 則幸 氏に質問しました。

Q

「オンライン/オフラインのデータをRampIDに紐付ける」とありましたが、オフラインデータをRampIDに紐づける具体的な例を教えてください。

A

小売、メディア、新聞社などの顧客・購読者情報は、元々はオフラインデータです。それらのお客様の情報はCRMに入っています。このCRMデータは今まではオンラインはオンラインのものでしか使えない、オフラインのものはオフラインでしか使えないと思い込んでいらっしゃるのではないでしょうか。

しかしこれらをCRMもしくはCDPの中に入れていただいて、プラットフォームを経由してRampIDを作成すれば、オフラインのデータであってもオンラインの中で活用できる一つの新しいID識別子として使うことが可能です。

例えばアンケートや、キャンペーンなど、CRMデータとして格納できるものは全てRampの中でIDに変換することが可能です。

Q

ファーストパーティデータの活用が、このイベント全体のテーマでした。RampIDを使ったファーストパーティデータ活用の具体的な事例があれば教えてください。

A

例えば、メディア企業の場合、これまでは自社の在庫の中で、どのようにユーザーを広告など当該コンテンツに呼び込むかを考えていたのでははないでしょうか。RampIDによって、自社の在庫の外にいるユーザーに対してIDターゲティングをすることで、外部から自分たちの顧客を呼び戻すような、買い付けも可能になります。

Q

広告枠を外に買い付けにいくということですか?

A

まさしくそうです。アドテクで言うところの「オーディエンスエクステンション(拡張)」です。場合によっては自分たちのオーディエンスに近しい人を類似ターゲティング(Look-A-Likeのようなこと)をすることで、最終的には自分たちのところに戻ってもらうような施策に使われるケースも考えられます。

Q

例えばメディア企業が他のメディアだったり他の媒体に買い付けに行くということは、それだけ単価も上がってくると思いますが、広告主にとっては、より多くの方に適切なタイミングで広告を配信できるということですか? 

A

そうですね。おっしゃっていただいた通り、今までは自社の在庫ボリュームに対して広告主に「記事広告をいくらでやりませんか」と提案されていた場合、対象は自社の中の在庫だけがメインになります。

ただ、読者は、同じ場所にずっといるものではなく、色々な場所を転々としています。外の在庫で、自社ユーザーがその時に接触している在庫を買い付けに行くことによって、自分たちのところに戻っていただく。ただそのためには外部在庫の買い付けという投資をする必要がありますが、その分、パフォーマンスやリーチがあがることで広告主からの発注額は大きくなるはずなので、結果としてバランスがとれた施策ができるのではないかと思います。

Q

これは既に海外では行われていることですか?

はい、行われています。まだこの段階でお名前は出せませんが、日本の会社様でも準備を始めていただいています。やはり自社の中だけではなく外に対してもターゲティングして買い付けしていこうということでご準備いただいています。

本記事はトレジャーデータ株式会社が主催した「PLAZMA After 3rd Party Cookie〜Cookie規制後のデータ活用とマーケティング 〜」(2021年5月開催)のセッションをもとに編集しました。

※ 2021年5月24日に「RampID」への名称変更を発表しました。記事では変更後の名称で記載しています。

LiveRampについて、さらに詳しい情報をお知りになりたい方はjapanteam@liveramp.comまでお問い合わせください。

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